「焦りや不安が強く、仕事に行くことができない」「イライラすることが多く、お酒の量が増え、暴力的になってしまう」などの症状でお悩みの人はいませんか?
「適応障害」はおもに環境の変化やストレスへの対応が難しくなり、心身の不調があらわれる状態です。治癒するためには、まず原因となるストレスを解消することです。しかし、本人でさえストレスの原因を見つけにくいことも少なくありません。そのため、専門家のサポートが必要になる場合があります。
この記事では、適応障害の症状や治療、うつ病との違いについて解説します。また、精神科訪問看護師によるサポートについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

適応障害とは

適応障害とは、何らかのストレスによって、心やからだに不調があらわれる病気です。基本的にストレスを解消すると症状が落ち着きます。うつ病や不安障害の一因となる場合があるので、適切なサポートや治療が必要です。

症状を改善させるためには、まず病気について理解することです。
ここでは、適応障害の症状や原因、治療法などについて紹介します。

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症状

適応障害は、過度なストレスにより日常生活に対する適応力が低下した状態です。通常、ストレスとなる原因が生じてから1ヶ月以内の、順応する期間にあらわれます。

症状は身体的・精神的なものがあり、具体的には以下のような症状です。
症状により、学校や仕事を無断で休んでしまうことがあります。また、腹痛や吐き気といった不調もあるため、精神疾患であると気づかないことも少なくありません。

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身体的な症状
全身倦怠感、不眠、頭痛、動悸、めまい、肩こり、食欲不振、ストレス性胃炎、腹痛、疲労感、吐き気、過食
精神的な症状
意欲や集中力の低下、注意力散漫、不安、絶望感、イライラ感、神経過敏、抑うつ気分、涙もろさ、興味・喜びの喪失、マイナス思考、自責的な考え方

原因となりやすいストレス

ストレスとなる原因は人によってさまざまです。多くの人が以下のような状況がストレスとなりやすいです。これまでとは異なる環境の変化はストレスになり得ます。人間関係のストレスも適応障害のリスクです。周囲から祝福される良いことでも、ストレスになることがあります。

環境の変化
•結婚 •仕事 •出産 •就職 •引越し •入学 など
人間関係のストレス
•いじめ •職場内の環境 •離婚 •失恋 •昇進 •喧嘩 など

適応障害の治療法

適応障害の治療には、心理療法や薬物療法が一般的です。
心理療法では、カウンセリングや認知行動療法を行います。認知行動療法ストレスの原因を明らかにし、適応方法を身につけるために重要な治療法です。
薬物療法では、おもに抗うつ薬や抗不安薬が使われます。抗うつ薬は抑うつ症状を和らげ、抗不安薬は不安や緊張を軽減します。

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うつ病と適応障害の違い

うつ病と適応障害は異なる心の健康の問題です。うつ病は感情の範囲や活動の低下、興味の喪失などの症状が特徴です。通常は長期にわたり継続します。

一方、適応障害は特定のストレス事象に対する適応の難しさから生じ、通常はそのストレスが解消されると症状も改善します。

ICD-10(世界保健機構の診断ガイドライン)でも適応障害は「発症は通常生活の変化やストレス性の出来事が生じて1カ月以内であり、ストレスが終結してから6カ月以上症状が持続することはない」とされています。

適応障害を引き起こしやすい人の特徴

適応障害になりやすい人は、完璧主義や過度な責任感を抱えやすい人です。周りの人の期待に過剰に応えようとし、自己要求が高くなりがちです。また、コミュニケーションの困難さや対人関係の過度な気遣いも見られます。

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適応障害の方への
精神科訪問看護師の関わりについて

精神科訪問看護師が行うケアは、治療計画のサポートや薬物管理、心理的支援などです。また、日常生活でのお困りごとの相談や支援を行います。
ここでは、精神科訪問看護師が行う適応障害へのケアについて紹介します。

症状の確認

まず行うことは、症状の観察です。感情の変化、薬物の副作用などを確認し、早い段階で問題を発見し、適切なケアを行います。
また、些細な変化にも気づくように、本人だけでなく、家族ともコミュニケーションをとります。

お薬の管理

お薬の服薬の確認や副作用の確認をします。また、利用者さんとお薬の効果を確認し、正しく服薬できるようにサポートします。
状態が良くなると、自己中断するケースが少なくありません。そのため、お薬の必要性もきちんと話していきます。

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ストレスの原因を探す

適応障害が症状を引き起こすストレスを解決することで、症状が改善される疾患です。そのため、訪問看護師はストレスとなっている原因を確認します。
適応障害の人は真面目で悩みを抱え込みやすく、周りに相談できていないことが多いです。訪問看護師が関わることで、本人も気づいていない心の悩みも傾聴します。ストレスの原因を見つけ出し、原因を解決できるようにサポートしていきます。

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環境調整

適応障害の人への環境調整では、負担やストレスの軽減を行います。例えば、仕事や学業の負担を減らす、家族との関係を改善するなどです。また、学校や仕事を休むことでも症状が改善することもあります。
利用者のニーズに合わせ、専門的な視線で最適な改善方法を提案しサポートします。

家族へのケア

利用者さんの家族にもケアを提供します。
利用者を支える家族も、悩みや不安が大きくなります。周りに相談できないこともあるでしょう。利用者さんも家族が苦しんでいる様子をみることで、さらに症状が悪化することもあります。
そのため、精神科訪問看護師は利用者さんが良好な回復過程をたどれるように、家族へのケアもおこなっていきます。

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精神科訪問看護は
リライフにご相談ください

適応障害は、環境の変化やストレスに対応できず、心身の不調が生じる状態です。通常のストレス反応を超え、日常生活に支障をきたすことが特徴で、適応力の不足が原因とされます。うつ病や不安障害の一因となり、適切なサポートや治療が必要です。

訪問看護ステーション「リライフ」では、適応障害などの精神疾患を持つ人が自分らしく生活できるようにサポートを行います。リライフが行う看護ケアは、心身状態の観察や服薬確認、家族への支援、社会福祉サービスの利用相談などです。ご自身や家族、周りの方で精神疾患に関する悩みがあれば、お気軽にご相談ください。