「アルコール依存症ってどんな病気?」「訪問看護師は、アルコール依存症患者にどのようなケアをするの?」と疑問をお持ちの方はいませんか。
アルコール依存症は誰にでもなり得る病気です。アルコール依存症を治療するためには、病気の理解が必要です。
この記事では、アルコール依存症の症状や治療法、訪問看護師が行うケアについて詳しく解説しています。
アルコール依存症とは
アルコール依存症は、自覚のないまま次第に飲酒量が増加し、進行していく病気です。治療には病気の理解が必要です。
ここでは、アルコール依存症の症状や治療法について紹介します。
アルコール依存症は精神疾患のひとつ
アルコール依存症は、精神的、身体的にアルコールへ依存する精神疾患です。飲酒が生活の一部となり、アルコールに対する耐性がつきます。その結果、飲酒量が増加し、自分の意志で飲み方をコントロールできなくなってしまいます。
年齢や性別は関係ありません。大量にアルコールを飲み続けると起こりうる病気です。
症状
アルコール依存症には以下のような症状があります。
- 飲酒への欲求が非常に強い
- 節酒が難しい
- 飲酒に多くの時間を費やす
- 飲酒以外の娯楽に目を向けない
- 離脱症状がある
離脱症状とは、アルコールが体からなくなると、手のふるえや発汗、不安感、吐気、不眠などの症状が現れることです。飲酒の量が次第に多くなり、飲酒しなくては落ち着かない状態になってきます。
また、生活が破綻し、金銭面や人間関係などのトラブルが表面化し、体重の減少や肝機能の低下などの問題も見られるようになります。
治療法
アルコール依存症の治療の基本は、断酒です。しかし、急な断酒は離脱症状を引き起こします。そのため、治療をはじめたばかりの人は、まず飲酒量を減らすことからはじめます。
アルコール依存症の治療はまず、病気の理解や断酒の動機付け、離脱症状の治療が行われます。また、リハビリ期では作業療法や認知行動療法に治療が行われます。
アルコール依存症の方への精神科訪問看護師の関わりについて
訪問看護が介入することで、アルコール依存症の治療がスムーズに行えます。
アルコール依存症の訪問看護では、以下の5つのケアを行います。
- 病気に対し理解してもらう
- 信頼関係を築く
- アルコールへの依存心を取り除く
- 断酒のための環境を整える
- 家族の理解と協力を得る
アルコール依存症は、早い段階で治療すれば回復が早いとされています。しかし、本人も気づかないうちに進行する病気のため、早期に正しい病気への理解と、家族の協力が必要です。また、アルコール依存症の治療は、一生涯にわたり、長期的な治療が必要です。
病気に対し理解してもらう
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アルコール依存症の方は、病識が乏しいか、自分が病気であることを認めたがらない傾向が強いです。そのため、適切な治療が開始されるまでには時間がかかるケースもよく見られます。
本人が前向きに治療に取り組めるように、病気への理解を促すことが訪問看護師の役割です。どの程度、本人が理解しており、受け入れているか看護師は慎重に確認します。
信頼関係を築く
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アルコール依存症の方の中には、悩みや辛さを上手に伝えられず、孤独に感じて一人で悩みを抱え込んでしまうケースもよく見られます。孤独感がアルコールへの依存を強め、悪循環を生み出します。
本人の個別性を尊重しながら、悩みや辛さを共有し、信頼関係を築いていく関わりが非常に重要です。そのため、訪問看護師は利用者が孤独を感じないように関わり、信頼関係を築き、本人が治療に積極的に参加できるようにサポートします。
アルコールへの依存心を取り除く
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アルコール依存症で入院中の方が退院して通常の生活に戻ると、入院中のように適切な治療が継続されない可能性があります。アルコール依存症を克服するには、治療を継続し、アルコールに対する考えを見直し、依存心を取り除くことが不可欠です。
訪問看護では、自宅でも「断酒」できる環境が整えるだけでなく、飲酒に対する思いや悩みを傾聴し、一緒に治療に取り組むなどのサポートをします。
専門家が関わることで、再発や再入院の予防につながります。 断酒のための環境を整える
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治療を進める上で重要なのは、断酒可能な環境を整えることです。ただし、アルコール依存症の方が断酒するのは容易ではありません。頭ではお酒を飲んではいけないと理解していても、身体がアルコールを欲してしまう病的な飲酒欲求が見られることがよくあります。
そのため、断酒可能な環境を整えることが重要です。訪問看護師は利用者の生活スタイルに合わせた環境づくりをし、お酒を飲まない生活について一緒に考えていきます。
家族の理解と協力を得る
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アルコール依存症の治療において、患者本人だけでなく家族の理解と協力が不可欠です。訪問看護師は、病気について家族に繰り返し説明し、知識と理解を促します。
治療はしばしば長期化するため、家族の負担も大きくなります。そのため、訪問看護師は定期的に家族の思いや心身の状況を確認し、精神的なサポートをします。
まとめ
アルコール依存症は、誰もがかかる可能性のある病気です。本人が病気だと認めにくく、治療の開始が遅くなりやすいです。しかし、正しい知識がなければ回復が難しい精神疾患です。
また、断酒が成功しても、一度でもお酒を飲むと再発するケースも珍しくありません。
そのため、訪問看護師は継続的・長期的に利用者と関わり、サポートしていきます。
アルコール依存症の方への精神科訪問看護師の関わりについて
精神科訪問看護ステーションリライフでは、アルコール依存症だけでなく、さまざまな精神疾患を抱える方を継続的にサポートする訪問看護ステーションです。精神疾患の専門家として、利用者だけでなく家族へのケアも行います。
精神疾患に関するお悩みがある方は、経験豊富なスタッフが在籍する「精神科訪問看護ステーションリライフ」へ、お気軽にご相談ください。